◆Keith Rowe guitar and electronics + Kjell Bjørgeengen live video◆Microtub (Robin Hayward / Kristoffer Lo / Martin Taxt) 3 tubas guest :高岡大祐tuba (4/18 only)◆Kim Myhr guitar solo


*電子音響即興音楽のゴッドファーザーキース・ロウ来日!!
SOFAは2000年音楽家イーヴァル・グリューデランド、インガル・ザックにより設立されたノルウェイのレコード・レーベル。
過去11年間で40 タイトル近い即興音楽作品を世に出してきました。                
SOFA: http://www.sofamusic.no/


■キース・ロウ(ギター、エレクトロニクス)+ シェル・ ビョルゲエンゲン (ライヴ・ヴィデオ)デュオ

エレクトロ=アコースティック即興音楽の発明者の一人と、ノルウェーの映像芸術のパイオニアの邂合的デュオ。ここ数年彼らはヨーロッパとアメリカのフェスティヴァルで共演してきた。このデュオを今回日本で初めて紹介できることをソファは誇りに思います。


■Microtub マイクロタブ

3名の即興音楽家、ロビン・ヘイワード、マッティン・タクスト、クリストッフェル・ローによる、微分音チューバ音楽の理念を実行に移すためのユニット。 3台のチューバから放たれる音が一斉に混ざり合うとき、ユニークで独特の特性の音色が創られる。ヘイワードは通常の3 3`チューバを用いての純正調の可能性を追求したのち、すべての微分音を論理的な方法で再生することができる新しい楽器を発明する必要を見いだした。批評家のブライアン・オレヴニックは「絡み合う音色、伸張、共鳴、それに鼓膜を美味しく打ちつける変動パルスの成形の驚異的な深み」と表現している。


■Kim Myhr キム・ミール

SOFAからアルバム『MURAL and Silencers』をリリースしている作曲家/ギタリスト。今回の日本ツアーでは今年秋にソファからリリースされる予定の新しいソロ・セットを演奏する。

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という告知文章で主催したイベント。
直接にはMicrotubのマーティンが連絡をくれて大阪で是非、ということで面識もなかった彼と連絡をとりあっての企画だったが、
正直言ってかなり気が重かった。
こういったシーンが薄い大阪で、個人企画のイベントで、受けるにしてはあまりの大物たち、金銭的責任はそれほど大きくない、というものの、それ以上の重責…。
キースとシェルの機材に4台のブラウン管モニターが必要、というのも頭痛の元だったが、音波舎の中沢さんとニッチの石田さんの多大な協力でちゃんとしたものが揃った。
今だからあかせるけど、一週間前までメール予約数ゼロ…夜逃げの一つでもしたくなった。
この数日前に大阪に戻り、本腰を入れて宣伝に追い打ちをかけて、彼らの音源や活動を追いかけているうちに、腰が座ってきた。
どんなにお客が少なくても、これは素晴らしいものになるに違いない。
彼らやお店の人、少なくとも来てくれた人達ががっかりせず、最高に喜んでもらえるように、最善を尽くそう。
失うものなんてたいしてないさ、命までは取られやしない、とはらをくくった。


東京から新幹線で移動して3時に入る、と連絡があり、いろいろな準備に追われてようよう遅刻せずになんとか会場入りしたら、
すでに彼らは落ち着いていた…うわ…。
まずは挨拶、みんな初対面だ。
段取りを説明し、荷物を置き、まずは食事とホテルへチェックイン。
食事は近所で良くいく蕎麦居酒屋のランチへ。いきなりメニューの説明が超忙しいがこれは結構得意分野だ。
今回はベジタリアンはtubaのロビンヘイワード一人。まだ助かる。
彼らが食事をしている間に僕は会場に戻り色々と設営。
テレビを高台に置くとまるで祭壇だった。
キースとシェルはホテルに戻らず(彼らは自力でチェックインしてくれた、何かと手間がかからんかったのだ)セッティング。
思ったよりも機材は少なめ、キースは信じがたいほど小さなギター(lapstickというものらしい)と細々といろいろコンパクト、
シェルは小型アタッシュケース入りのパッチングシンセのようなものとヴィジュアルミキサー。


映像は写真に撮れないものだけど、変化と残像が想像力を喚起する、本番が楽しみ。


続いてキムは12弦ギター一本で、マイク1本のみ。セッティングは楽だ。
マイクはコンデンサーを、ということで、こんなこともあろうかと中古で買っておいたものが役に立った。
バランスを取るのに少々時間かかってくらいでこれもすんなり。
Microtubは完全アコースティックなので椅子決めと並び順を決めるだけ。楽を通り越して何もない。
ちょっと一緒に吹いて、もうすでに面白い。


客入れの間、皆はめいめいに散歩とか、僕は店内で持ち込んだ弁当を喰い、備える。
最終的には大入りもお客さん。ありがたや。当日が、前売りと同じくらい来場。
ライブは観た人のもの。
キースとシェルは人々それぞれに残像で何かを与えるようなプレイ、
キムのギターはかき鳴らしの中に高次倍音の雲のような柔らかい音が飛び出て聞こえ、それがメロディックにさえ鳴った。


僕は、Microtubの通常の演奏を少し乱したかな、と思ったけど。
隣のロビンヘイワードの音の存在感が凄い。さすがだ。
彼らは特別に改造されたmicro tonal tuba(微分音程tuba)を奏していて(Loは普通のtuba)、
1/4音程や1/8音程まで正確にコントロールできる。

ロングトーンでそのずれによって物凄い音の波を発生させる。
僕のtubaは普及品の安物なので、自分の肉体と技術によってしかそれが出来ない。
その違いが、面白かった。
ミュージシャンが前に出るだけで、客席から聴こえない溜息というか、なにか密度を伴った期待感が来て、それが肌で感じられた。
tubaカルテットでは、ステージ部分ではなく、客席ぎりぎりまで出て演奏したので(足元にまでお客さんがいた状態)、
特にそれを感じられた。


アンコールなんていらない。ぱっと終わった。
終わってからは会場で振る舞いのお惣菜と乾杯、片付け、諸々の事務作業、
彼らにはホテルに戻ってもらい、遅れて駆けつけて希望された深夜のお好み焼き打ち上げ。
なんだかすごく楽しくのんで食べて、話した。
やるまで本当に不安だったけど、本当にやってよかったよ。
みんな、ありがとうございました。
これが恐らく、大阪のクラブでやる僕の最後の大きな企画でしょう。悔いはありません。
ヌオー、ありがとう。まだまだもう少し、遊びましょう。